四国に住んでいながら、未だにお遍路をきちんと回ったことがありません。
県外の徳島・高知・香川もそれぞれ札所を数カ所ずつ。
愛媛でようやく県内の札所のうち三分の二くらいだと思います。
歩き遍路への憧れ
小さな頃からお遍路さん、特に歩き遍路へのあこがれがありました。県内でも一番参拝客で賑わっている五十一番札所の石手寺には家族でよくお参りしていましたし、時々お遍路さんの姿を見かけることもありました。曾祖父が十四、五歳で家族全員を亡くして、10人程の位牌を背負って四国遍路に出たという逸話も幼稚園ぐらいから聞かされていたので、自分もいつ歩いて回ろうか、自転車で回ろうかと小さい頃から空想していたというわけです。
最近は下火になった風習かもしれませんが、祖父母の世代は一生に一度はお四国参りをして納経帳と掛け軸を生前に調え、いざ葬式のおり棺桶に入れてもらう、ということをしていました。刷り込みというのでしょうか、そういう光景を見聞きしていると自然と遍路への思いも募っていたのだと思います。
結局、今になるまで八十八カ所を全部回ることは叶っていなかったところ、「四国遍路」のサイトを作ろうと思い立ったのがきっかけで、少しずつ札所巡りをするようになりました。
愛媛県久万高原の2ヶ寺へ
今日は、愛媛県久万高原町にある44番大宝寺と55番岩屋寺へ一眼カメラを持って出かけました。
岩屋寺は、県内でも石手寺に次いで名前の知られた札所だと思います。子供の頃から数年に一度の間隔で訪れてきました。松山からだとちょうどよい距離的にもドライブコースです。
水どうファンにはおなじみ
岩屋寺(45番札所)は、人気テレビ番組の『水曜どうでしょう』ファンには「岩屋寺パン騒動」でおなじみの札所。お遍路にちょっと興味があるのなら、水曜どうでしょうの八十八カ所巡りのDVDを見るのも楽しいですよ。
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駐車場からの距離が一番長い・岩屋寺
ここは八十八カ所の中でも駐車場からの距離が一番長いともされており、徒歩20分勾配のきつい石段を登ります。山深い他の札所はロープウェーができたり、境内まで車道が付いたりしていて大変便利になっていますが、岩屋寺だけは地理的にそういう整備が困難なほど急峻な場所だということでしょう。
石段の傍らにはかわいらしいお地蔵さんやみちひらき観音というちょっとした洞窟もあり、いい雰囲気を醸し出しています。
海岸山岩屋寺という名称のとおり、太古の海底が隆起してできた巨大な岩窟が古くから修行地となっていました。伝説の役行者はじめ空海や一遍も修行をしたと言われています。
息が上がってきてのどの渇きを覚えてきた頃、見上げると大きな岩窟が杉木立の隙間から迫ってきました。寺務所が押しつぶされそうな光景です。どうやって上がるのだろうと首を傾げたくなるほどの垂直な岩肌にはいくつもの穴が空けられてあって、かつての修行者が籠もった跡のようです。
ご本尊は不動明王。僧侶だけでなく修験者、山伏もこのあたりを跋扈していたのでしょう。
山門からは山道を峠越えするへんろ道が残っており、8キロほど離れた大宝寺へとつながっています。
また、途中に「せりわり行場」といって鎖とロープで何十メートルもよじ登る奥の院もあります。手すりのない垂直に近い階段を上がった山頂の祠には白山菊理菩薩権現さんが祀られています。
数年前に一度チャレンジしましたが、途中で断念しました。写真を撮る余裕もなかったのが残念です。
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