アメリカのトランプ大統領が5月25日から3日間の日程で来日しました。
68時間の滞在中、メディアはこぞって日米の絆を強調する報道が続いたことは、記憶に新しいところです。
68時間のトランプ大統領来日
令和初の国賓がアメリカ大統領というだけあって、都内は厳重な警備が続いた一方、日米両国の旗があちこちで掲げらたり、出迎えの人数も大変多く、歓迎ムードでした。
安倍首相夫妻も、同盟国であるアメリカとの友好関係をさらに強めるために、大相撲やゴルフなどトランプ大統領へのおもてなしをする姿はメディアで大きく取り上げられました。
しかし、写真や映像で見るような和やかな雰囲気の裏で、日米貿易に関する厳しいやりとりがあったのをご存知でしょうか。
到着早々、貿易問題を俎上に
トランプ大統領は、これまでの日米間の貿易交渉の流れを踏まえて、来日初日から貿易不均衡の問題を日本を代表する企業のトップに問題提起を行います。
トランプ大統領の主張は、
・これまでの日米貿易で日本が有利な立場であってことは気にしない
・日米友好関係があったからこそ日本は貿易で経済を支えてきた
・しかし、公平な貿易にするためには日米貿易協定の締結が必要
・日米貿易協定の締結を通して、日米間の貿易不均衡を改善して公平にちかづけることが目的
・数ヶ月以内に大きな発表を予定している
というものでした。
初日に羽田空港に到着してそのまま財界関係者との夕食会の席で公正な貿易を訴えるという先制パンチは、いかにもトランプ大統領らしい行動です。
日米友好をアピールする影で
トランプ大統領が主張するように、日米両国は重要な同盟関係にありながら、これまで貿易摩擦の問題を根本的に解決できないまま今を迎えています。
しかも、今回の来日にあたっては、政府を挙げてトランプ大統領を手厚くもてなしたのにもかかわらず、緊迫する貿易不均衡の問題で大きな成果が得られず、先送りされた感じも残りました。
とくに来日2日目の5月27日に行われた日米首脳会談後の共同会見で、トランプ大統領は、「日米が8月合意での一致は全くない」と明言しています。
8月に大きな発表を行うという日程的なイメージが先に立って、貿易赤字の削減をどうしていくのか、貿易において公平感を具体的にどう実現していくのかなど、詳細は決まらないままとなりました。
今回の訪日による成果は、トランプ大統領の圧力をうまくかわして、日米の友好ムードを強めるにとどまったという厳しい見方もあるようです。
実際、閣僚級協議や今回の首脳会談、そして、6月に開催されるG20でさらに日米間のすり合わせが進められるにしても、お互いに具体策をかたちにできないまま終わるのかも知れないというおそれが強まっています。
日米間、米中間と緊迫する東アジア情勢
このように、高度経済成長期からバブル経済期とはまたテイストの違った日米貿易戦争が続くなか、アメリカ大統領の一声によって日本の経営陣は大きな雨風にさらされるリスクがますます高まってきました。
SNSで、次々と新しい政策を発表していくトランプ大統領のことです。日米の貿易不均衡の問題解決が進まない状態が続けば、いつ予想だにしない戦術で日本経済に圧力を掛けてくるかわかりません。
6月のG20がまたひとつのヤマ場となりそうな今、会社経営に影響を受けないためにも、アトランプ大統領の言動を注視していく必要がありそうですね。
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