HSPと私(1)「繊細な私」と「気が小さい私」

HSPという心理学用語は、今どこまで一般的に広がっているのだろうか。かつて自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれていた自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障害)など「発達障害」の言葉の方がもう少し広く知られているのかもしれない。

HSPとは”Highly Sensitive Person”の略で、1996年、アメリカの心理学者・エレイン・N・アーロン氏が提唱した人の気質の特性をネーミングしたものだ。最近、日本では「繊細さん」といった言葉も知られている。

HSPの気質を持つ人は、五感が鋭敏で刺激に影響されやすい。例えば、人混みが苦手ですぐ疲れてしまったり、些細な注意でも深く自省してずっと引きずってしまったりしがちだ。

私がHSPという言葉に初めて出会ったのは23歳の時だった。大学卒業後、そのまま京都で一人暮らしをしていて、自分というものの取扱説明書がまだはっきり出来上がっておらず、日々メンタル的に苦しい時間を過ごしていた頃だった。ビジョンのようなものが見えたり、時間をトリップするような感覚があったりと、このままどこで落としどころを迎えるのだろうと、漠然と着地点を想像しながら生活していた。

休日になると、よく河原町の書店に出かけて、特に哲学や思想、心理学や精神医学、社会学、そして専門の文学や芸術あたりのジャンルを眺めていた。そんな2000年の暮れ、心理学コーナーの平台に置かれていた新刊がエレイン・N・アーロン著「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」(富田香里訳、講談社、2000年刊 ※絶版)だった。

※現在、2度目の改訳版が下記のタイトルで発売中

タイトルを見た瞬間、ずっと探し求めていた問いと答えが目の前に本となって私のところにやって来たーーそんな鮮やかな感動があった。

タイトルとURLをコピーしました