森田療法の創始者である森田正馬(まさたけ、通称 しょうま)博士の生家を訪れました。
生家の前には、生誕地の石碑もありました。
偶然見かけた観光案内地図とリンクして
生家を訪れたきっかけは、香南市野市町にある高知県立のいち動物公園でした。
ハシビロコウがきっかけで
ここは、日本でも数少ないハシビロコウを飼育する動物園です。
ハシビロコウ目当てで訪れたとき、入り口に立っている周辺の観光案内板の地図の中に「森田正馬生家」を見つけました。
生家が高知の田舎のほうにあるのはあれこれ調べていたときに知っていましたが、まさかのいち動物公園の近くとは。
それもそのはず、博士は、のいち動物公園のある香南市野市町の出身でした。
森田療法とは
1919年(大正8年)、森田正馬博士は神経症に対する精神療法を確立。
それが、現在までつづく森田療法のはじまりです。
神経症とは、現在、不安障害や不安神経症と呼ばれているパニック障害や全般性不安障害、強迫性障害などを指します。
日本オリジナルの精神療法として、精神医学の世界で一時代を築いた手法です。
田園地帯に残る生家
森田正馬博士の生家は、のいち動物公園から車で約10分。
田んぼと住宅地が混ざり合うエリアにありました。
生誕碑
生誕記念碑は、生家の一角に建っていて、「森田正馬先生生誕の地」と刻まれていました。
揮毫したのは森田正馬博士の直弟子である高良武久氏(東京慈恵会医科大学名誉教授)です。
風格のあるたたずまい
石碑の背後に年季の入った立派な家屋が見えました。
風格ある門構え。
塀越しに見る生家は立派です。
森田正馬博士を敬愛する面々からすると聖地といえるでしょう。
風雪にさらされてだいぶ傷んでいるのが残念です。
調べてみると、最近まで、この生家で不登校の子供たちのための塾が開かれていたようです。
耐震性の問題で解体案が持ち上がったとき、保存会が発足。
行政と連携してなんとか生家を保存しながら、今後の活用法を探るようでした。
生家の残る意味
薬物療法が主流の現在の精神医学。
副次的におこなわれているといえる認知行動療法やカウンセリング。
脳科学で強調されるメタ認知へつながるような、物事の見方を変えるアプローチが依然として有効なのだとすると、森田療法はこれからも脈々と受け継がれていくのだろうか。
そして、HSPや発達障害など、精神医学の情報があふれる時代に何を選べば良いのか。
森田正馬博士生家の前に立って改めて、そんなことを感じました。