川の水を引いたプールで泳ぐ
プールは日帰り温泉に水風呂に変わる
誰もいない
朝日の木漏れ日
が差し込む浴場
氷を浮かべたくらい
頭がキンキンと
痛むくらいの夏の川の水
平泳ぎをしながら水風呂の端っこにタッチする
そこでくるりとからだをひっくり返して
天井を見つめながら大きくポジティブなため息をついてみる
日常では実現不可能なほどのリアルな深呼吸
帰りはクロールで
水風呂から上がる
露天風呂の向こう
岩山に
朝日がしっかりと上がる
わたしは
朝を迎えたことがうれしい
そして
朝が
日常の単なる一日に変わり果ててしまうことを見つめながら孤独になる
ひとりの水風呂は
おおぜいのなかひとり取り残された
熱湯じみた夏のプールになってしまう
川の水によってキンキンと冷え痛むかつての頭が懐かしい
懐かしいけれど、もう朝日を浴びたおかげで
その手触りがどこかへ離れていきそうになって
