愛媛県美術館で開催されている「白洲正子 神と仏、自然への祈り」展に行ってきました。
白洲正子ゆかりの文化財が集結
愛媛ではもう二度とこれほどの仏像や神像、掛け軸は集まらないのではないでしょうか。
それほど近畿や中部を中心に、さまざまな寺社から数多く出展がありました。
有名、無名も合わせて、とても見応えのある展示リスト。
春日大社や法隆寺からも出展
有名どころの寺社では、春日大社、松尾大社、那智速玉大社、法隆寺、松尾寺などなど。
西国の観音霊場からも十一面観音やその他の仏像がたくさん集まっていました。
昨年、ご縁をいただいて参詣した寺社も多く、なつかしく感じました。
国立博物館級の仏教、神道コーナーがそのままやってきた壮観さに、興奮。
普段は宝物館に秘蔵されていたり、秘仏だったり、村人がひっそり守っていてほとんどご開帳されないものなど、貴重な品々が多数でした。
一目惚れした秘仏の十一面観音
白洲正子の著書にも「十一面観音巡礼」というそのものずばりの作品があります。
なかでも滋賀県の盛安寺の十一面観音(秘仏)にひときわ惹かれて、時間をかけて拝見しました。
実際はこの写真よりも、お顔の輪郭や立ち姿はスッキリしているのもポイント。
天平のながれをくむ平安初期の独特の肌の透き通る白さ。
そこにシンプルな唐風の装飾をみつめていると、なんともうっとりしてきます。
死を待つ修行の最終章
あと、那智の滝で知られる和歌山県の補陀洛山寺蔵「那智曼荼羅画」も心引かれる展示品。
中世から江戸期の神仏混淆時代、渡海上人なる「補陀落渡海」という捨身行がありました。
観音浄土である補陀洛山へと那智の浜から扉のない小船で旅立ったのだそうです。
旅立ち自体が死を意味する正しく捨て身の行。
想像するだけで圧倒されるものがありました。