鸚鵡岩を後にして、伊勢市内の内宮方面に戻る峠越えの道すがらに、天の岩戸はあります。
初訪問の名水の地へ
伊雑宮から伊勢市内の最短ルートが伊勢道路(県道32号線)です。
沿道にはダムもあり木立も多くドライブルートとしては快走路となっています。
内宮から見ると伊雑宮は東南方角にあります。距離で半分ぐらいでしょうか。伊勢市と志摩市の市境近くに天の岩戸はあります。
天の岩戸というと京都府丹後にある元伊勢の天岩戸の印象が強かったのですが、今回初めて訪れてみました。
ダム湖付近から山道へ入って
県道を伊勢市方面に走っているといきなり天の岩戸へ続く脇道が見えて左折して進んでいきます。
しばらく行くと無料の駐車場があってそこから徒歩数分といったところにありました。
あたりは携帯(SoftBank)の電波圏外。
谷間の地で、林に囲まれており、イメージとしてはかなり山奥です。
陰陽うずまく形容しがたい空気
こちらは、特段、重たい雰囲気というわけでもないのですが、明るいといった様子でもなく微妙な感触でした。
ここの湧水は「日本名水百選」に選定されています。
観光客もよく訪れるのでそういう重さが薄まってきているのだとしたら嬉しいことだと思います。
天の岩戸の不思議な意味合いとは
内宮は『神路山』の北西麓に広がっています。
この聖なる山を挟んで対極の南東麓にあるのが伊雑宮です。
伊勢と志摩が神路山を境として向かい合っています。
双方のエネルギーが大地の古層を伝わってこの天の岩戸の真下あたりで陰陽、濃淡、明暗さまざまがない交ぜになってぶつかりながら龍蛇のように絡まりながら浄化しつつ上昇していって天に戻っていく。
その濾過の澄んだあとの排気口、排水口のような役目がこちらの天の岩戸なのかもしれません。
現在はこの周辺は宗教色はかなり薄まっていますが、もともとは仏教や修験道のかたちで濃厚にお祀りしていた気もします。
伊勢神宮にて読経の響き
伊勢には何度も訪れていますが、これまでほとんど神仏習合を意識していませんでした。
しかし、5月に朝熊山の金剛證寺を参拝したことと、今回こちらを訪れたのが合わさって、いろいろ思い出されてきます。
神仏習合はここ数年のテーマです。伊勢神宮でも当然、かつては神仏習合となっていました。
一番わかりやすい例が、伊予の偉人・一遍さんです。
『一遍上人絵詞』によると一遍さんは熊野本宮へ参詣したときに大悟したとあり、そして伊勢神宮ではお弟子さんたちと内宮の正殿前の玉砂利に座って読経している姿が描かれています。
現代では「伊勢神宮すなわち神社の象徴」のようなイメージからなかなか抜け出すことは難しくなっています。
そんな清浄な雰囲気の伊勢でさえ神官さんの祝詞のそばで僧侶の読経が高らかに混ざり合っていたかと思うと、その感覚にちょっとついて行けない焦りも感じます。〔2013年7月旅行記(10)〕
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