「学校に馴染めない中学生の娘さんがいて、悩んでいる」と聞きました。
学校という枠の中でうまく溶け込めないとき、子ども自身も、そばで見守る親御さんも、とてもつらい気持ちになりますよね。でも、もしかしたらそれは、その子に与えられた特別な才能や、それを育む素晴らしい環境に気づくためのサインなのかもしれません。
美術家のおばあさんからの贈りもの
その娘さんのおばあさんは、陶芸家として2人の子どもを育て上げた、美術大学出身のある意味、アートのプロフェッショナルです。ヨーロッパへの留学経験もあり、その人生そのものが「美」に満ちています。

そのおばあさんと中学生の娘さんは、赤ちゃんの頃から一緒に過ごしてきました。おばあさんと遊びで一緒にお絵かきをしたり、田舎の家での暮らしぶりや物の見方、美意識を自然と学んできたといいます。
鉛筆やペン、絵の具を使った子どもの遊びのような落書きが、実はとんでもない美術の先生への師事につながっていたのです。
日常がそのまま最高の美術教育
おばあさんの家の敷地には、作陶のための窯場もありました。ろくろや手びねりをする姿、窯から焼き上がった器を取り出す姿も、娘さんは子どもの頃からずっと見てきたそうです。
陶芸家として生きる「プロ」とは何かを間近に学べる機会が、子どもの日常の中に当たり前のようにありました。客観的に見れば、これ以上ないほどの美術の英才教育ではないでしょうか。
絵画教室に通ったり、美術のワークショップに参加したりするよりも、家族に美術家として生きる素晴らしい手本がいること自体が、圧倒的な美術教育だと言えます。
まとめ:学校以外で見つかる才能
娘さん本人がその事実をどこまで感じているかは、今すぐに意識する必要もないでしょう。ただ、大人になったとき、「自分はなんて恵まれた環境にいたんだろう」と、そのすごさを認識する日がきっと来るはずです。
今は少し学校に馴染めなくても、心配することはありません。彼女には、学校の成績や友人関係だけでは測れない、もっと大きな世界が広がっているのですから。