日帰り温泉物語(3)今日はちゃんとお風呂が沸いているか心配な話。

よく行く日帰り温泉の話。

こちらの施設自体はバブル後期の1990年頃に建てられました。

創業者の夢のあと

地元の企業の会長が、趣味で建てたような日帰り温泉。

館内は有名作家の絵画や書画などが所狭しと飾られていて、創業者の趣味と税金対策としか思えない豪華さ。

お座敷付きのレストランあり、1階、2階にはリクライニングベッドがズラリと並び、休憩室の和室も床の間の柱を見ただけで贅沢な建材をふんだんに使っているのがわかります。

敷地の奥には大きな温室ハウスもあって、さまざまな熱帯植物に囲まれたカフェテリア営業。

目の前には海水浴場が広がっていて、夏になると脱衣所で水着に着替えた客たちが、温室ハウスの勝手口からそのまま海で泳いでいました。

やがて、初代オーナーの末期には、市中心部から出ていた無料マイクロバスも終了。

南国気分の温室ハウスは数年前の台風で倒壊。

レストランは中止されて、その代わりに自販機とカップ麺が用意されるようになりました。

雨漏りやトイレの故障は当たり前

そのうち、次代のオーナーの時代には、雨漏りする箇所が増えて、フロント前の玄関ロビーに入館してところから雨漏りを受けるバケツが並んでいる始末。

やがて、トイレの便器には次々と「使用中止」の紙が貼られるように。

今のオーナーは確か三代目のはず。

「気に入らなかったらうちに来なくていい」というスタンスで、あちこちが壊れていたのを見かねてオーナーに意見をした常連客はそのような主旨のことを言われたそうです。

常連のお客さんたちはよく、

「下手なことを言ったらダメ、出入り禁止になるかもしれないから」

とあきれた様子で笑っています。

開館日にお風呂が沸いていないのはツライ

施設の老朽化で困るのは、当日現地に到着してからお風呂が沸いていない場合。

毎日のように入りに来る常連さんたちによると、

「以前は数年に1回だったが、最近は年に1、2回に増えた」

とこぼします。

先日も駐車場に車を停めたところで、開館時間まもなくなのに常連のおじいさんが帰ろうとしていて事情を聞くと、

「風呂が沸いてない!まだ湯船は水状態らしい。

ボイラーの調子が悪くて、40度ぐらいまで上がるまでに1時間かかるらしい。

風邪引いたらいかんから、わしゃ帰る」

と怒り顔で帰っていきました。

私もその日は諦めて別の日帰り温泉に予定変更。

経年劣化、進行中

今日も脱衣所では、

「洗い場で洗面器に湯を張ろうとしたら、カランがぽろんと取れた」

と話す常連さんがいて、

「いよいよここも時間の問題かもなァ。

今のうちにせいぜい入りに来とこうな」

と話していたところです。