「サイクリストの聖地」とまでいわれる、しまなみ海道を有する愛媛県。
県庁所在地の松山市では、観光資源としての自転車の活用方法が今ひとつ見えてきません。
実際、松山市の主要なターミナル駅である伊予鉄道・松山市駅にはレンタルサイクルのショップもなく、サイクリストのためのサイクルスタンドを設置する動きも見られないからです。
自転車の観光活用が盛り上がらない現状
現在、松山市のレンタサイクルは大街道、JR松山駅、道後温泉駅の3カ所4拠点で運営されています。
ただ、場所でいえば駅のすぐそばというのではなく、少し離れた場所にあり不便です。
坂の少なく平らな松山市は自転車をよく見かける街です。通勤や通学、買い物の足として自転車に乗る人の数はとても多いと感じます。
ただ、愛媛県の取り組みで国内外からサイクリストが集まり、自転車関連の対策も進むしまなみ海道周辺や今治市とは違い、県都の松山市では自転車は住民のもので観光資源としてのイメージはまだまだ芽生えていないのが現状です。
松山市では駐輪禁止条例によって放置自転車の取り締まりを進める一方、繁華街における駐輪場の整備はなかなか進まず、松山市駅周辺ではいまだに百貨店の駐輪場に頼っています。
2017年に松山市駅から数百m離れた場所に駐輪場が整備されましたが、住民が使いやすい場所にあるとはいえない立地です。
もっとも、観光で来県したサイクリストにとっては駅のすぐ目立つ場所にサイクルスタンドがあり、観光客にとっては駅を降りたらすぐレンタサイクルに乗れる環境でなければニーズに応えることは難しいでしょう。
観光だけにとらわれない自転車政策を
これまで松山市の観光客の移動といえば路面を走る市内電車が目玉でした。
坊ちゃん列車も運行し観光資源としてはこのまま維持していく必要があります。
けれど、愛媛県として自転車による活性化を打ち出ししまなみ海道でその動きが出てきた現在、松山市でも市内電車と合わせて観光客の足、サイクリストの利便性を高めるための自転車関連の整備を急がなければなりません。
道後と大街道、JR松山駅だけではなく松山市駅まで含めたサイクル構想に変更すべきではないでしょうか。
松山市駅周辺にもレンタルサイクルショップを設け、市内電車と連動して市内の主要繁華街を循環させる導線を作ることが重要です。
観光拠点だけに焦点を当てた観光対策はもう時代遅れだと感じています。
そして、駅前や繁華街のお店にサイクルスタンドを設置するよう促す施策が、自転車県政の次なるステップになるのではないかと思います。