70代の母の介護で難しいのは、〈老い〉の受容をいかにフォローしていくかということ。
本人はまだ若いと思っている、しかし、病気や障害の影響で80、90代の介護の視点でサポートする必要がある。
親子で老いに向き合う
親子関係という面倒くさい要素もある上に、心理的な壁は理屈やエビデンスでは解決できないことが多い。
介護も当然既存のサービスが厳然とあって、そこに当てはめて運用していくわけだけど、利用者側から見ると一つひとつのサービスの幅が広すぎる、カテゴリが大きすぎることが多い。
アレンジがしづらい代償は、介護を受ける本人や家族が被るわけで、日々の細かな違和感や疲れにつながっていく。
介護で問題にならない〈年齢〉
あと大きな問題のひとつは、要介護状態という括りで年齢が考慮されない点。
両親とも60歳前後で特定疾病による要介護認定を受けた経験から、「デイサービス」ひとつ見ても、利用割合の多い80代、90代の利用者の中にポツンと入っていく。
見学して思ったのは、高校の教室に小学生が入ったような違和感。
横並びで学年にこだわる年齢重視の国の割に、高齢者になると十把一絡げに「介護」や「高齢福祉」というカテゴリに放り込まれてしまうと、運用上はそうならざるを得ないにしても。
いくら年を取ったとはいえ、年齢差の大きい中のコミュニケーションはきっと本人の負担は少なくないはず。
高齢者だからと割り切り過ぎると、結局巡り巡って負担がかかるのは本人であり家族という、自己責任論的な傾向は否めない。
介護もどこまでバランスを図っていくか、悩み所といった感じだ。