「期日前投票車」が過疎地を走ることから考える、”投票が知られない自由”

政治

過疎化に悩む島根県浜田市。

投票所の減少によって統廃合後の投票所までのアクセスが難しい高齢者などの有権者のために、投票ができるワゴン車を走らせるのだという。

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中山間地域が広がって人口減少が続く島根県では、投票する権利をサポートするために評価できる取り組みだと言えるだろう。

「期日前選挙車」スタート!

ネットの反応は好意的

Twitterで声を拾うと、過疎地だけでなく都市部でもやって欲しいといった声もあった。

車両で移動するということで不正選挙のリスクは多少心配だが、基本的に有権者の利便性が高まることは喜ばしいことだ。

投票しない自由

このニュースを聞いたとき、ふと気になったのは、

「期日前投票車を利用せず、投票所にも行かなかった人が誰か、すぐにバレるのではないか」

という心配だった。

こうした取り組みをせざるを得ない地域なら、ただでさえ投票所に誰が行ったぐらいは公然の秘密となっていることが想像される。

そこに、投票所までの交通手段が困難な地区に出かけてしまうと、静かに投票行動を強く促しているような気もしてならない。

もちろん選挙で投票するという選挙権は、国民が有する大切な権利である。

日本国憲法 第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
○4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

reference:日本国憲法

ただ、ここで若干気になるのが第4項である。

投票しない自由も日本国憲法では認められているわけだが、投票内容の秘密は守られても、投票行動をした事実が周知となる状態は人によってプライバシーと抵触してくると感じるかもしれない。

もし大都市や人口がそれなりにある町なら、誰が選挙に行ったかどうかはまずわからない。

もちろん、投票所でたまたまご近所さんや知り合いとすれ違ったり、誰が投票に来たのか野鳥の会ばりに出口で観察しているのなら仕方がない。

一定数の人口がある都市部に住んでいると周囲が選挙に出かけたかどうかはわかりづらい。

期日前投票も増えているため選挙日に投票しないケースも多いものの、隣の晩ご飯までわかりそうな過疎地域に「期日前投票車」が走るのは市内に投票所がいくつも開設される都市に住んでいると投票の有無からバレてしまうことが気になってきそうだ。

投票に行かないことを知られない自由?

行政としては、憲法に保障された選挙権が行使されるために困難な問題をクリアするのは当然の取り組みだ。

ただ、選挙によっては白票投票はおろか、選挙にすら出かけたくない気分になるときもある。

白票や棄権することが政治的な意思を表示できるかどうかはここでは問わない。

選挙で投票したかという、選挙権以前の次元で少なからず戸惑いを感じてしまう。

こうしたぼんやりとした不安はとても現代的かもしれないと思ったりしている。

 

参考文献:芦部信喜『憲法』岩波書店

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