越後妻有里山現代美術館MonETを出たのが、16時半だった。
住んでいる四国の感覚で過ごしていたら、思いのほか夕暮れが早くて薄暗くなってきた。
風も出てきて肌寒い。
今日中にどうしても回っておきたいスポットがあったので、道を急いだ。
夕闇のなかお目当ての作品と対面
今来た国道117号線を津南町方面へ引き返していく。
中里エリアの山崎まで来たら、南下して倉俣大橋を目指して進むと橋の手前に桔梗原うるおい公園があった。
すっかり夕闇が迫って、スマホのバックライトがまぶしく感じる。
公園の駐車場から、この旅のきっかけになった内海昭子「たくさんの失われた窓のために」が見えた。
里山と一体化する現代アート
妻有の自然に溶け込む窓、そしてレースカーテン。
カーテンが風にたなびくと窓を通して豊かな里山を感じ、風が凪いでたなびきが収まると、窓枠の外まで含めた現代アートの存在感を感じて・・・・・・。
目覚ましく主客が入れ替わるような、不思議な見方ができる作品だった。
きっかけになった平手友梨奈さんの表紙
『BRUTUS Casa』の平手友梨奈さんのインタビューによると、表紙の撮影をこの場所で行ったとき、ものすごい風が吹き続けて、立っているのも大変なほどだったらしい。
その状況のなか、写真家と一緒に、あの印象的な一枚を撮影できたのだった。
あの表紙がきっかけでここまでやって来て、十分満足できる場所だった。
しばらく作品に近づいたり、離れたりしながら、この光景を何枚もカメラに収めた。
作品を引き立てる美しい月
日没後、すっかり辺りは暗くなってきた。
この場所と同化していくような不思議な心地になっていると、窓の向こうに月が輝いているのを見つけた。
前の晩が上弦の月で、その名残を見せる美しい姿だった。
スマホのカメラの性能では、暗くなっていて撮影はできない。
雲に隠れたり、また顔を出したりする月を一眼カメラでどうにか撮影した。
事前のイメージが目の前で崩れていくのも旅の楽しさ
作品が設置されている公園は、想像していたよりこじんまりしていた。
すぐ横を時々、車が勢いよく通り過ぎていく。
もっと広い草原のような、だだっ広いところにあるのかと思っていたため、想像してきたイメージと目の前の光景とをマッチさせるのに時間がかかった。
そんな脳内の作業を含めても、今回、ここまでこの作品を見にやって来て、ほんと正解だと感じた。
『新潟から金沢へ:現代アートを巡る旅』のきっかけとなった
平手友梨奈さん表紙の「BRUTUS Casa」2020年9月号はこちら
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