比沼麻奈為(ひぬまない)神社は、近畿各地に点在する伊勢神宮の元宮のうち、外宮があったとされる古社である。
久次岳を御神体山として祀られていて、その中腹には巨石を磐座として祀った大饗石(おおみあえいし)があると知った。
そこで、インターネット上のわずかな情報を頼りに、比沼麻奈為神社から久次岳の登山口へと向かった。
久次岳へ向かって
久次岳(京丹後市峰山町)への登山口は久次集落の外れにあって少しわかりづらかったが、歩き出すとすぐ案内板があったので安心した。
山の中腹には滝もあって 不動尊も祀られているらしい。
また、このお不動さんのための道しるべなのか、それとも往古、この山には40もの真言密教寺院が立ち並び、その跡もあるという名残なのか、道すがら何箇所かにお地蔵さんが集められていた。
滝を見守る不動明王
途中、「お不動さん→」と刻まれた石柱の二つ目を少し進むと三段からなる、なかなかの規模の滝があって立ち姿で石造の不動明王が出迎えてくれた。
林道をひたすら登って
お参りしてからとって返し、最前の分岐まで戻ると、いよいよ久次岳の山頂方向へと歩き出す。
道は思っていたより整備された山道だった。幅も広く、森林の作業用につけられているようで、軽トラ程度なら十分入っていける様子である。
道はひたすら谷川のせせらぎを近くに聞きながら、枝打ちされた杉林の中を通っている。天気予報によると丹後地方は昼には雨とのことで、山間部なので余計に雲が泣き出さないか心配であったが、どうにかもってくれている。
大饗石(おおみあえいし)
これが、久次岳の中腹にある大饗石(おおみあえいし)である。
ここにたどり着くまで、麓を出発して1時間ぐらい経っていた。
急に傾斜がキツくなり倒木が道を何本も塞いでいて丸太をくぐったり跨ったりを繰り返し、これがずっと続くようなら引き返さないといけないかもと危ぶんでいた。
そして、もうこの先はやめておいたほうがいいのでは、でもあの杉が数本、見えるところまで行ってみようとなんとか登ってみると、まさしくテーブルのように真っ平らの巨石が注連縄を掛けられて鎮座している。
文献では「大饗石」と書かれているものもあるが、神社の由緒書や地元ではこれを應石と書いて「おおみあえ」と呼んでいる。
豊受大神が天照大神のために御饌物を捧げられた石。
三方向から撮影したが、うまく大きさが伝わるだろうか。
目測だが高さ2m、幅3m、奥行6mほどだろう。
ほとんど登る人がいないのがうなづけるほど、岩以外に余計なものはなく、やさしく、そして強い、この聖山の芯なるちからが辺りに充満していた。
地元のひとたちが聖なる山として代々畏敬の念を注いでいたからこそ保たれたありがたさを感じた。
山頂への取り付きがわからず断念
應石そばには少し小さめの巨石もある。
これが「大石」と呼ばれるものだろう。
大石から山頂付近を望んだが、道が途絶えてしまっていて登山の装備が必要な様子だった。
情報では、ここからしばらく登ると「大神社(おおかみもり)」と呼ばれる古の鎮座地や真名井の水を移されたという「穂井の段」もあるらしい。
残念ながら、今回はここで引き返した。
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