奈良を代表する心霊スポット「白高大神(しらたかおおかみ)」。
白高大神について調べていくと、必ず一冊の本に出会う。
フランスの民俗宗教研究者・アンヌ ブッシイ氏の「神と人のはざまに生きる−近代都市の女性巫女」だ。
紐解くと、白高大神のある奈良の滝寺は大阪の天王寺にある安居神社(安井神社、安居天満宮、安居天神社とも)が旧地だという。
真田丸ブームで知名度アップの安居神社
地下鉄御堂筋線の恵美須町駅から「逢う坂」と呼ばれる国道25号線を天王寺方面に歩く。
大きな一心寺が見えてくるとその北側に安居神社の入り口があった。
白高大神と所縁があるなどという前に、天王寺の一心寺そばにある安居神社は、真田幸村が大坂夏の陣で最期の場所となったことで一躍有名になった。
真田幸村戦死跡碑
細い路地を抜けると社務所が見えてくる。
拝殿とそのそばにさなだ松、そして幸村の銅像が立っていた。
玉姫教会のにおいを残す聖地
神社は想像していたより狭く、小さな丘の上の平地を利用している。
ブッシイ氏の著書にあった境内図を頼りにかつてのイメージをふくらませてみた。
玉姫教会は奈良の白高大神とこの地の二カ所で構成されていたという。
お塚の跡地である小山
拝殿や本殿の北側にこんもりした小山がある。
ここに白高大神を作った玉姫教会のお塚が並んでいたようだ。
伏見稲荷大社の稲荷山のお塚群が有名。
実際に今でも石組の跡が残っている。
玉姫の名を残す稲荷社
そばにあるのは安居天神社の摂社で金山彦神社(金山彦神・金山姫神・淡嶋神)である。
そして稲荷社があるのが感慨深い。
その名も玉姫稲荷神社である。
玉姫教会の痕跡を確かに感じさせるものであり、教会の主宰者だった巫女の旧宅があった場所だ。
お塚のあった小山からは今でも古墳から感じるような独特の空気が流れてくる。
巫女の死と共にすべて奈良へ
安居神社にあったお塚をはじめ鎮座していた玉姫教会ゆかりの神々は巫女の死後、すべて奈良の白高大神に移されている。
白高大神を訪れると途中でたくさんの石碑を祀った場所があるが、そこへ移されたのだろう。
境内に滞在中、四天王寺や一心寺のすぐそばである安居神社を巫女が選んだ意味をずっと感じていた。
奈良に戻ったということも土地の役目の不思議さを感じてしまう。
石組の遺構に遺されてた稲荷玉の透かしを見つめていると、すうっと奈良の白高大神に吸い込まれそうになった。
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