聖滝(ひじりだき)は豪雪地帯で知られる鳥取県日南町の山間部、秋原川にある。
小ぶりだが美しい佇まいの滝で、神代の伝説に興味を惹かれた。
県道沿いの案内板から約1km
日南町の大動脈である国道180号は菅沢神社付近で大きくカーブする。
そこを印賀方面へ向かう鳥取県道48号線へ入ってしばらくすると、道路の左手に案内板と駐車スペースがあった。
案内図に従って、民家の前の道を山のほうへと歩いて行くと、日南町観光協会による新しい案内板がある。
そばには、環境整備のための協力金募金箱もあったので、些少だが小銭を入れておいた。
遊歩道はのんびりとした散策にぴったり
矢印のほうへ少し坂道を登ったら、あとは聖滝までほとんど平坦な遊歩道だった。
奥へ進みながら、地元の人たちが木々の伐採や草刈りなどを定期的に行っているのがよくわかった。
「聖滝まで○m」という木札は2度ほど見た。
そろそろ到着しても良いのだが、と思っていると、遊歩道の先、右手に様相の異なる4段の滝がコンパクトにまとまっていた。
人工ではと思ってしまうほど緻密な配置の滝
滝のある渓谷はこじんまりとしているのだが、日本庭園で人の手で作り上げたかのような見事な配置が素晴らしい。
狭まった遊歩道は石段になっていて、奥に「縁結び橋 聖滝→」という、おみくじを結んだデザインの看板があった。
丸太橋を慎重に対岸へ渡ると、3連からなるメインの滝と遭遇。
この日は蒸し暑い天気だったが、上流から吹いてくる滝の風が涼しくて心地よい。
日本神話の有名な夫婦にあやかる縁結びスポット
伝承によれば、聖滝は、日本神話に登場する木花咲耶姫(このはなさくやひめ)と邇邇芸命(ににぎのみこと)がこの滝の前で結婚の儀をあげたいう。
木花咲耶姫は富士山を神格化した、浅間神社で祀られる美しき女神。
一方、邇邇芸命は天照大御神の孫に当たる。
天孫降臨で高天原から高千穂に降り立ち、葦原中国を統治。
やがて出会った木花咲耶姫に求婚して、結婚した。
古事記や日本書紀の中でもとくに重要な神々が、この日南町の伝説で出会えるとはありがたい。
案内板を見る限り、観光協会では縁結びのパワースポットとして観光化したいようだった。
四季折々の表情を楽しめる魅力的な滝
滝周辺の木々を見ると、秋の紅葉シーズンはさぞかし燃えるような景色が楽しめるに違いない。
駐車場までは最寄りの高速道路からも1時間以上はかかる場所にあるが、遊歩道は歩きやすく気軽に訪れることができた。
ぜひこのあたりを訪れたときには、折に触れてここも寄っておきたい。