切っ先の角度

poem

すべてをあきらめてはいないのだけれど

すべてをあきらめるようにやさしくささやきかける

成分のたっぷり入った泥に浸かっているようで

 

どこかしらない洋館のフロアで一歩踏み出すと

100もの亀裂が走っていって

 

あきらめたものをひとつずつ数えてしまう

あきらめきれないものも入っているのだけれど それは

見ないようにして片付けを進めるオートメーション化。

 

じぶんがこわれるまえにせまいせかいをこわしてしまおう

というきもちが わかる

ひろいせかいはせまいせかいであり

せかいとは たったひとつ たったひとりの 目の前に偶然居合わす存在

で成り立っている だから

 

すべてを同時に見ることはできない見ることができない

骨盤だって腰椎だって根こそぎ引っ張り出そうとする泥でできた

善とも悪ともどっちつかずな神像がすがりついているのなら

 

切っ先の角度は良いか

その向きと高さで

もうあきらめてしまうのか

錆び付いた頭をすげ替えることもしないで

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