【詩】ここから、離れた

poem
250203121824121

もう私は ここから離れなければならない のかもしれない

鏡面の湖水 石ころ一つ 放り投げて
波紋広がる その中央に すっぽり
この身 が 嵌る

もう私は ここから離れるべきなのかも しれない

恋をしてはならぬ 無生物に 心を寄せ
就職先は 学校の教室の机
結婚よりも先に離婚をし
葬式よりも先にお食い初めをする

もう 私は ここから離れてもよい のかも知れない

人を食ったようなロボット
ロボットの顔をしたような虚ろなヒト
車にははねられて あの世にたどり着いても気づかないだろう
自分が生きていたこと
自分が死んだこと
己がただ生まれただけで
生きること それが
始まっていなかったこと を

もう、私は ここから 離れるのだろう

コーヒーよりも生を憎み
蛙よりも涙を尊び
考えることよりも
聞こえることを信ずる

もう私はここから 離れていく

生きるために私は死なない
死ぬために湖を見ない
もう、いい
という文字 心の裏側にへばりついた

白い小石に魂を移し入れて
この身ひとつ
ここから
天使のはしご
その雲間に紛れていく

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