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【詩】骨格

骨格のような人生のような骨格が。無数に方々へと散らばって私は私の骨を拾うぬるりとした人生気づけば自ら首を絞めていたし私の影が足首をつかんで引っ張り下ろそうとしていたり信じる には 疑いすぎてしまい疑う には 感じすぎてしまった生まれたときは...
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【詩】ゼロをイチに変えるということ、イチから無数に広げられると自負している人

あるとき友人が、見えない世界を取り扱う世の中にはゼロをイチにする人とイチを10や100や1000にする人と2種類いるのだといった。どのくらいの比率なのかと尋ねるとイチを無数に広げられる人ばかりだという、ゼロをイチにする人はまったくといってい...
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【詩】白い光を手のひらで持ち続けることができない

気軽に仲間に誘ってくる人たちが多くてどうして閉じられた世界でしか使えない通貨ばかり溜め込もうとするのか開かれた白い光の世界との境目は、もうすっかり消えてしまっているのにシームレスな世界を求めない人たちは、じぶんがみえないじぶんを抱えきれなく...
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【詩】シャツ、裏返しで

近所の男の子、よく話しかけてくれるその子の家からこちらにやって来る長袖シャツを裏返しに着てごあいさつをしてくれたと思ったら、ずっと前に行ってしまったわたしのこどもの姿に変わった長袖シャツはきちんと表で着ていてでも、短パンを裏返しに履いていて...
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【詩】領海に溶け込んで

私はいま どこにいるのかどこを彷徨っているのか日本にいるのか日本という国にいるのかそれともただ単に日本列島という土地に立っているだけなのか私がずっと思っていた場所にじつは ずっと存在していなかったのかもしれない離人感国なき民のうごめき魂が消...
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「結氷」

冬空の下 湖面を覗くと5歳の時の僕がいたその時 君は 一体 いくつだったのか山から吹き降ろす風は君のその表情ほど凍り付いてなんかいない別々に歩いて行こうと 諏訪湖の 湖畔のコテージで話し合った夜君の表情はまだ曇っていたけれど僕は見逃さなかっ...
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【詩】月の向こう側

いまわたしはどこに立っているのかあの満月も向こうに回れば暗闇を司る新月記憶の図書館の中央で昔の記録が飛び交ういま未来に頭を打って死ぬと過去が日の出と共に上がる戸籍に小さな名前だけを刻み住民票で召し上げられる人頭税の人生すべてのつながりは〈ヴ...
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【詩】峠を越えて海に出る

家の清らかな記憶と汚れた血肉が森の湖水に沈んでいく峠を越えて海に出る黒い土地が見えない潮でコーティングされてただの砂になる峠を越えて海に出る雨が森を流れて立木が枯れ魚が干上がってもお菓子の家が輝いている峠を越えて海に出る泥水の偏った心が何度...
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【詩】透明なタイミング

「ボクじゃなくてもよかった」とあくまで、前向きにそう宣言するときすべての時間が巻き戻されて止まっていたタイミングが動き出す『だれでもよかったのに、ただたまたまそこにいただけということ』そうピストルを持たないガンマン同士が背中合わせで時を数え...
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【詩】あさひを溶く魔法

きづかなくていいんだよということにきづいてしまうとこのせかいのめっきがまたひとつはがれて宇宙を舞う石の上にたった一人で立って地球を覗くとみどりの樹液が地軸をつたって落ちた金星にぼくの真実を置いてきたすうっと魔法がとけて眉間のしわを古代の文字...