poem

poem

【詩】シャツ、裏返しで

近所の男の子、よく話しかけてくれるその子の家からこちらにやって来る長袖シャツを裏返しに着てごあいさつをしてくれたと思ったら、ずっと前に行ってしまったわたしのこどもの姿に変わった長袖シャツはきちんと表で着ていてでも、短パンを裏返しに履いていて...
poem

【詩】領海に溶け込んで

私はいま どこにいるのかどこを彷徨っているのか日本にいるのか日本という国にいるのかそれともただ単に日本列島という土地に立っているだけなのか私がずっと思っていた場所にじつは ずっと存在していなかったのかもしれない離人感国なき民のうごめき魂が消...
poem

「結氷」

冬空の下 湖面を覗くと5歳の時の僕がいたその時 君は 一体 いくつだったのか山から吹き降ろす風は君のその表情ほど凍り付いてなんかいない別々に歩いて行こうと 諏訪湖の 湖畔のコテージで話し合った夜君の表情はまだ曇っていたけれど僕は見逃さなかっ...
poem

【詩】月の向こう側

いまわたしはどこに立っているのかあの満月も向こうに回れば暗闇を司る新月記憶の図書館の中央で昔の記録が飛び交ういま未来に頭を打って死ぬと過去が日の出と共に上がる戸籍に小さな名前だけを刻み住民票で召し上げられる人頭税の人生すべてのつながりは〈ヴ...
poem

【詩】峠を越えて海に出る

家の清らかな記憶と汚れた血肉が森の湖水に沈んでいく峠を越えて海に出る黒い土地が見えない潮でコーティングされてただの砂になる峠を越えて海に出る雨が森を流れて立木が枯れ魚が干上がってもお菓子の家が輝いている峠を越えて海に出る泥水の偏った心が何度...
poem

【詩】透明なタイミング

「ボクじゃなくてもよかった」とあくまで、前向きにそう宣言するときすべての時間が巻き戻されて止まっていたタイミングが動き出す『だれでもよかったのに、ただたまたまそこにいただけということ』そうピストルを持たないガンマン同士が背中合わせで時を数え...
poem

【詩】あさひを溶く魔法

きづかなくていいんだよということにきづいてしまうとこのせかいのめっきがまたひとつはがれて宇宙を舞う石の上にたった一人で立って地球を覗くとみどりの樹液が地軸をつたって落ちた金星にぼくの真実を置いてきたすうっと魔法がとけて眉間のしわを古代の文字...
poem

【詩】押戸石(おしとのいし)

阿蘇を旅したとき360度なにもない草原の真ん中に立った押戸石という巨岩だった』北斗七星を、北斗七星が裏打ちされた、地上に置き石として。王国の宮殿の礎石中心はここだと磐の精が云う一時が一昼夜に伸び縮みをして一瞬で。草原にホログラムの360点へ...